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バスしか通っていない田舎町のバス停。今はもう誰もが自家用車を持つ時代になってしまったのでそんなことはなくなったが、昔はその町の住民が外の町に出る場合には、丘の上に立つそのバス停から、隣町の駅に向かう“吉井田循環”バスに乗るよりほかはなかった。そしていつからかその丘は、住民たちの間でこう呼ばれるようになった。
−さよならヶ丘。
その丘のバス停に、一人の少女がいた。彼女はその日、町を出る決心をしていた。その町から外に出るには、バスに乗らなくてはならない。バスは“吉井田循環”。隣町の駅前を起点に隣町をぐるりと回る循環バスだ。バスはその町の境界をかすめて走り、住民を外へ外へと運んだ。
彼女には町を出る前に、どうしても会いたい人がいた。彼女が親友と認めているピロコちゃんだ。学校でみんなから嫌われ、いじめに遭っているピロコちゃんと仲良くしているのは彼女だけだったから、ピロコちゃんはきっと来てくれると彼女は信じていた。
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