もう彼女は最後の方なんか言葉に詰まって「えっとえっと」みたいな感じになっちゃって。私も聞いた手前なんか言ってあげたいなって思ったんだけど、私も全然わけ分かんなくなっちゃって一緒になって「えっとえっと」とか言ってた。それでやっと出てきたのが「忘れちゃうのは悲しいですね」っていう言葉で、そう言ったら彼女は「じゃ、写真を撮りましょ」って。
切実な感じの息づかい、アディダスジャバー復刻版、短いパターンの組み合わせが繰り返される踊り・・・。いくつかの手がかりを残したまま「男」は姿を消した。その日、吉田くん、ヨネ、イベントさん、ゆんゆん、しのぶ、たかくさんはその「男」に導かれるように福島県福島市を彷徨ったという。彼らによる数々の証言と、彼ら以外による彼らの、若しくは彼らが遭遇したいくつかの出来事の、目撃談が織りなす超ドキュメンタリー!
福島を中心に活躍するバンド「siva」と、写真家高久美和子がそれぞれ音楽と劇中写真を担当。感情の奥深くまで訴えかける繊細かつ劇的な音楽と、透明感あふれる写真が、トリキングの芝居に新たな世界観を与える。
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