作･演出　　大信ペリカン
原　　作　　ソフォクレス「エレクトラ」
　　　　　　　松平千秋　訳
　　　　　　　　ちくま文庫「ギリシア悲劇�U」
出　　演　　平林里美　荒川美樹
　　　　　　　七海良郎
客　　演　　菱沼万美子（劇団Be White）
　　　　　　　宍戸美佳子（劇団Be White）
　　　　　　　小田島達也（劇団Be White）
　　　　　　　荒井和寛
映　　像　　ステカセ
制作協力　tripod/トライポッド（仙台公演）　

　お父様の仇を討つために死ななければならないのなら、わたしは喜んで死ぬわ。

　五年前、地方のスーパーマーケットの社長が自店の事務所で謎の転落死を遂げた。警察の調査では事故死との判断が下されたが、その日以来町を駆け巡りまるで蒸し暑い夏の夜の湿気のようにその町に充満した噂話によれば、それは夫人が引き起こした殺人事件であるとのことだった。
　時が過ぎそのスーパーは今、町のコミュニティセンターとして生まれ変わっている。その日、センターでは市民講座「古典を読む−ギリシア悲劇「エレクトラ」」が開講されていた。講座に参加した人数は講師を含めて五名だったという。
　あの転落死に端を発し、五年間その町を覆い続けていた呪いは、その日、音もなく、静かに、溢れ出した。