プレオープンに寄せて
本日はご来場まことにありがとうございます。
また、ATELIERブリコラージュのプレオープンにお立ち会い頂き、厚く感謝申し上げます。
当アトリエは、「文化と生活が交差する空間」を目標に、県内の演劇人有志によって開館いたしました(プレだけど)。地方のアート・芸能シーンは、創作者と鑑賞者の垣根がないことが特徴の一つとして挙げられるかと思いますが、そんな地方ならではの交流型アートスペースを目指しております。
本来であればもっと席数も増やし、終演後に軽くお酒でも飲みながら、みんなで今日のお芝居の感想などを語り合えたらよかったのですが、なにぶんこのご時世。杮落としやレセプションはもう少し後のお楽しみとすることにしました。
さて、コロナ禍により演劇界には再び不要不急論が巻き起こりました。「再び」というのは東日本大震災時にもこの議論があったからです。「自粛」が議論の主題であった大震災時と、密集・密接に対するリスク回避が主題である今回とは内容が異なりますが、目に見えて成果や効果が現れない芸術全般は、宿命的にこの問いを抱えていると言えます。また将来、我々が想像もしない形で演劇の不要不急が問われる局面が来るかもしれません。
演劇やその他の表現活動が不要不急かどうかは、もちろん個々人や時々によるでしょう。ただ、自分にとって本当になにが不要不急かを考える際、演劇や芸術全般は、その大きな手がかりとなると思います。目に見えた成果や効果があるわけではない芸術のメリットは、そうした「個」を強くするところにあるのではないでしょうか。
今の時代、「個」をしっかり持つということはなかなか難しいものです。また、「個」が踏みにじられ傷つけられるような事態も多く起こっています。
ATELIERブリコラージュが、そんな「個」の獲得や開放の場、また傷ついた「個」を守るアジールとなり、集まってきた「個」が混ざったりぶつかり合ったりする熱気のある場所となることを願います。
本日お立会いいただいた皆様には、ぜひ今後とも温かく当アトリエを見守っていただけたら幸いです。
最後に、アトリエ開設にあたりご支援、ご協力、応援いただいた全ての皆様に厚く御礼申し上げます。
2021年7月3日
ATELIERブリコラージュ
管理人 大信 ペリカン
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